お気楽読書日記:1月

作成 工藤龍大


1月

1月29日

『霧に包まれたイギリス人』(東浦義雄)を読みました。

これも、はずれですね。
大学教授の留学体験記は、基本的に読む価値無しという気がします。

あれこれイギリス本を読みあさると、著者にとっては貴重な体験も陳腐化してしまう。
情報の流通量からいって無理もありません。

エッセイというのは、一種の「芸」です。
体験だけでは、「芸」にはならない。
読者の見る目がきびしくなっている昨今、本を書くむずかしさをあらためて認識しました。

いっぽうで、活字のリテラシーが著しくかける「読み手」がいる。
このあたりにも二極化構造の一端がみえますね。

ひるがえって考えてみると、これは伝統的な落語・漫才といまどきの「若手芸人」の「芸能」観の違いにも似ている。
笑いをとる反射神経のありかたが、伝統的なお笑いといまどきのお笑いではちがう。
たしかにいまどきのほうが「笑い」をとりやすいけれど、これは向上もできないし、感性の鮮度も維持できない。
去年うけた若手芸人が今年消える−−。
反射神経だけで勝負すると、ボクシングなみに耐用年数が短くなります。
成熟する余裕がもてないから当然の結果です。

時代にながされずに、自分なりの「芸」をみがくものだけが生き残る。
うけないことは、恥ではないのです。

先週はExcel VBAを使ってみようと、独習本を読みました。
『はじめてのExcel VBA』(植田政美)という本です。

なかなか使い勝手のいい入門書です。

おかげで、ExcelのVBA Editorの使い方はわかりました。
簡単なVBAは書けるようになったので、この調子でExcelの達人をめざそうと思っています。

今年もいろいろ計画を練ったが、目下そのひとつにほとんどのエネルギーを集中しています。
一点集中して、限界を突破したい−−それが今年の目標です。
それは小説書きなのですが、わたしがねらっている小説はやたらと調べ物をしなければならない。
今日もエジプトのヒエログリフを学習してしまった。
そんなこんなで、ひたすら焦って執筆しています。

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1月22日

『日本人はなぜイギリスに憧れるか』(宮本光晴)を読みました。

魅力的な題名とはうらはらに、内容はすでにレトロでした。

1992年から一年間のイギリス研究留学。
その後、1997年にこの本を出版。

残念ながら、著者の考察は世紀をまたぐ有効性をもちえていないように思えます。
サッチャー改革の痛み、その後のブレア政権の混乱を分析の俎上にのせられないから、無理はありません。
たまにははずれもある−−というところで、今回はお開きです。

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1月21日

『愛蔵版妖怪画談』(水木しげる)と『水木しげるの妖怪百物語』を購入。

ただいま『鳥山石燕画図百鬼夜行全画集』(角川文庫)と『江戸怪奇草紙』(志村有弘編訳)をひたすら眺めています。
これもひとえに創作のため−−。

よく知られているように、水木しげるの画業は鳥山石燕などの日本画家の仕事をふまえたものが多い。もちろんまねではなく、そこから想像をふくらませて、あくまでも妖精的な水木ワールドを作り出しています。

ゲゲゲの鬼太郎から水木ワールドに親しんでいると、鳥山石燕の妖怪画にはなつかしさを感じるほどです。
これが岩波新書の『妖精画談』になると、ケルト民話や井村君枝教授の本でなじんだ妖精たちがこんな姿になるのかと、かるいめまいを感じます。
泰西の妖精画家の画風になれていたので、どことなくアジアンな香りがする水木妖精画に逆輸入のカルチャー・ショックを受けたんでしょうね。

こういう妖怪画は、想像力をふくらませてくれる。
池波正太郎さんの「剣客商売」に「妖怪小雨坊」という一編があります。
これも鳥山石燕の妖怪画からアイデアを受けたものです。

水木画伯説によると、妖怪はもともと「神」です。アニミズム的世界観では精霊が「神」であり、神と神が並存しながらすべてはなりたっている。

精霊であるべき「神」が都市伝説(というか民話?)レベルで恨みと憎しみの権化に変わったのが、徳川時代からと水木画伯は考えているようですね。
わたしの考えはちょっと違っていて、「御霊信仰」のように、恐怖をもたらす神こそが強くて貴いという日本的なアニミズムが「妖怪」というカミを生んだ−−。そちらのほうが正しいように思えます。

なにはともあれ、妖怪画はいくらみても怖くない。
それよりも、街にはられている小泉首相のポスターをみるほうがぞっとします。(笑)

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1月14日

今週も無事おわり。週末の文筆モードが開始。
本日もしっかり執筆しようっと。

ところで、今週は新書を二冊読みました。
『仕事力を10倍高める数学思考トレーニング』(大村平)
『ビジネスマンの心理学』(和田秀樹)

モチベーションを高める心理学に興味があります。
近年、読む本はアカデミックな本よりも、目標達成のためのビジネス書が多い。
理屈じゃなくて、実践という時代ですから。
岩波文化が大好きなわたしも、自然とそちらに傾斜しています。

どうも欲がたりないようなので(ついでに存在感もうすい?)、仕事に対するモチベーションをなんとかかきたてたいと思っています。
和田秀樹氏は精神科医ということで、この手の本をいろいろ書いているらしい。
『ビジネスマンの心理学』はなかなか面白かったので、次の本を探して読む予定です。

ところで、心理学と並んでこのところ興味があるのが、数学。
仕事で統計をとる必要があり、毎日数字をいじっているうちに、世の中のことは案外、数学で説明できることを実感しました。

以前には、絵空事にしか思えなかったベクトル平均や調和平均、二乗三乗の法則というのが、ほんとうだったんだと実感しています。

確率ではペイズの法則とか、デシジョン・ツリーが使えそう。
デルファイ法や効用曲線は、いろいろな予測に効果がみこめる。

根っからの文化系だったので、数学にはアレルギーがあります。
嫌いだから勉強しない。勉強しないから試験の点数が悪い。親にしかられ、教師に見放されていよいよ数学が嫌いになるおきまりの悪循環。

ただ、試験で点数をとる必要はもうないので、純粋に下手の横好きで数学が楽しめる。
怠け者で、遊び人(まじめがきらいという意味)のわたしが、やっと数学で遊べる時期がやってきた−−。 大村平氏の本は、まだ読了していないけれど面白い。
数学が、役に立つ実学であり、囲碁将棋みたいなゲームとしても楽しいことを教えてもらいました。

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1月 9日

新年おめでとうございます。
今年初めての読書日記です。

年初ということもあり、今年の抱負など。
今年の目標としては−−
  1. 作家業の本格始動
  2. 英語で発信する
  3. 中国語で読み、書き、話す
  4. 古典ギリシア語でプラトンとクセノフォンを読む
中国語は簡単な文章ならなんとかかんとか意味がとれるようになっていますが、まだあやしい。今年はきっちりHPやニュース記事を解読できるようになるつもりです。

古典ギリシア語は(何度目かの)文法の復習をおえたので、漢文の素読の要領でプラトンの対話編「弁明」「パイドン」「パイドロス」を読み切り、クセノフォンの「アナバシス」にけりをつける予定。

英語はさらなる速読力をつけて、発信型のボキャブラリーをふやします。
英語関連のメルマガを創刊したり、英語のブログを開設して英語のメル友をふやしたいなと思っています。

そして、長年の夢、作家業に邁進します。
今年こそ、どこかの新人賞にひっかかりたい。

夢にむけてひた走る年です。
どうぞ、これからもよろしくお願いします。

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