お気楽読書日記:2月

作成 工藤龍大

ページの最後 | 目次へ戻る | ホームへ戻る

2月

2月26日

金曜日に楽しくお酒を飲みすぎて(笑)、土曜日は沈没です。

泡盛で「美ら島(ちゅらじま)」がうまかった。
これは沖縄最古の蔵元、新里酒造(1846年に創業)が造っているお酒だそうです。

沖縄をのぞく全国で発売されているというのが不思議。
新里酒造は沖縄で「かりゆし」というブランド名で有名だそうです。

(「美ら島物語 泡盛コラム」(http://www.churashima.net/special_page/awamori/40.html)を参照させていただきました。)

ところで物忘れのひどいことが酒席でもわかってしまった。
「澤乃井」を造っている小澤酒造の名前がどうしてもでてこない。
ああ......歳だなあ。脳がどんどん退化している感じ。

土曜日はアルコールを消すためにウォーキング。
すこしくたびれたので、本棚から積ン読本と既読本を取り出して読んでいました。

『遺跡の旅・シルクロード』(井上靖)は20年前のNHK『シルクロード』撮影時代に書かれた懐かしい本です。
ソ連がまだあり、中国が観光客に開放されていない時代。しかし、それだけに歴史的遺産はかえってまだ保存されていたようです。

しかしアフガニスタンとイラクが戦争で荒廃する未来は想像もできなかったでしょうね。

この二つの国は歴史のロマンというより、テロと戦争にあふれる暗澹とした現代の象徴となっている。

劣化ウラン弾の残留放射能なんて20年前はSFでした。

『現世の主権について』(マルティン・ルター)は一部を流し読み。
「ドイツ全都市の市参事会員に対する勧告』(会と対は旧漢字)は「キリスト教的な学校を設立し且つ維持せよ」という副題をもつ論文。
宗教改革がはじまると、カトリックからプロテスタントに鞍替えしたドイツ諸侯の領邦国家では修道院の破壊と所領の没収が行われました。
中世の教育機関の役割をになっていた修道院が消滅するにあたって、ルターは自治の伝統を持つドイツの都市に、初等・中等教育の学校を建設するように勧めたわけです。

ルターは、生徒にドイツ語・ラテン語・ギリシア語、そしてヘブライ語(!)を教えて、まっとうな校訂をへた各国語の聖書を学ぶ学校を作りたいと考えました。
さすがに、宗教改革をとなえただけのことはある。

これが書かれた時代(1524年)、ドイツの文化程度は「戦争と大食と鯨飲」で悪名高い「ドイツの畜生」とルターが自嘲するくらいのものでした。

ドイツの文化程度を高めるためなら、非キリスト教徒からも学ぶことを辞さないという態度は立派です。ただし、ルターが「驢馬の糞」とののしった教父・神父・修道士は、いってみれば彼の信仰の敵だから、敵の敵は味方というマキャベリズム的発言ですね、これは。

学ぶ相手がトルコ人であってもかまわないという、ルターの言葉は十字軍時代(当時オスマン・トルコはまだ建国していなかったけれど)なら美談ですが、数年後にオスマン・トルコ軍はウィーンを包囲する。そのとき、ルター派の諸侯は初期にはトルコ軍の味方でした。

プロテスタント派は神聖ローマ帝国皇帝(カール五世)に対抗するために、オスマン・トルコと提携しようとしていた。同じカトリックのフランスでさえ、対ハプスブルク政策のためにオスマン・トルコと長年にわたって同盟関係にある。
信仰の問題というより、政治的リアリズムの結果として、対トルコ政策が決まったわけで、それをふまえるとルターの言葉もかなり割り引いて考えたほうがいいと思います。

この論文を読んでいて、ふと思い出したのが、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』。
神父になるための学校で挫折したハンス少年が自殺めいたかたちで水死する結末は暗く悲しい。
この学校はルターの理想ですね。
そこで生きてゆくには、ルターみたいな、繊細とほど遠い性格ではないと無理。
子どもなどほっておいたら遊ぶだけだから、男の子も女の子も締め上げて鍛えろと熱弁するルターは、いやなおっさんです。(苦笑)

先頭に戻る | 目次に戻る

2月20日

『Bar レモンハート』(古谷三敏)の雑誌形式のセレクト版を買いました。
近所や行きつけの書店になぜか『レモンハート』がないので、廉価版のこっちを買ってしまいます。
今回のには以前買ったものと重複するエピソードが入っていたけれど、まあいいでしょう。
なにせあの薀蓄マスターの修行時代がしっかり描いてあったから、いい買い物でした。

この手の漫画は版元で絶版になっているのが買えるので嬉しい。
『花っ平バズーカ』(永井豪)や『西遊記』(小島剛夕)もありますね。
ただ小池一夫原作のどちらも大して面白くなかった。
むかしはワクワクしたのに、なんだか読むのが面倒になってしまって......

古いもの大好きなわたしにしては珍しい。
やはり小池一夫も時代の子であったか。
パラダイム・シフトというわけじゃないけれど、今とはなってはもう読めない。
版元で絶版というのも無理ないかな。

(ちょっと気になったけれど、『西遊記』(小島剛夕)は単行本だったような気もします....間違っていたらごめんね。)

ところで先週はひどくさびしいことがあって、すっかりへこたれてしまいました。
あてにしていた人たちがどっと辞めてしまったのです。

いまやっている仕事をどう手当てするか、きりきりと胸が痛いです、マジで。

悩めるあたまで書店に入ったら、『鉄人28号 公式ガイドブック』(小学館)を発見しました。

去年深夜枠でやっていた今川泰宏監督のアニメ版のガイドブックです。
ストーリーは鉄人があまりにもかわいそうなことになっているので、最終回はすっかりさびしくなりました。
それでも、今年は別の監督の実写版と今川監督のアニメ版が公開されるようです。

また出かけちゃおうかな。

今週はすっかりへこたれて、『ポーの一族』『トーマの心臓』『11月のギムナジウム』にひたっていました。
この本を愛読していた十代にとっくにわかっていたことだけど、人生は大変だ。
最近笑うことがほんとに少なくなっています。
こころの健康にはとっても悪いけれど、「こんなんで笑えるかよ」というのが本音。
「それじゃあいかん」とどんなビジネス書にも、心理学の本にも書いてあるけれど、「ヲレの人生だ、ほっといてくれ」とわめきたい心境です。

まだまだ.......甘いね、われながら。

先頭に戻る | 目次に戻る | 次の日記

2月13日

この休みは書斎(というか、本の物置というか)の整理と、運動にあけくれてぐったりでした。

PCで書き物をしようと思ったら、ウイルス対策ソフトの不調で復旧に半日近くかかってしまった。
おかげでスケジュールがくるって、体力が消耗。
中年はきついよなあ。
ダッシュとスパートがきかないのが情けない。

いろいろ思いわずらうせいか、本も読まずに、「別冊 聴く中国語」で「李白三十首」を聞きながら魂をとばしていました。

いまあちらの国とはいろいろあるけれど、わたしは中国語を聞いているとなんだかほっとするんですよ。
前世はあの国だったかと妄想していますが、中国人の知り合いに言わせれば「あんたみたいな中国人はいない」そうです。
そいつは無断でわたしをクレジット・カードの保証人に仕立てたとんでもないやつなので(以後は消息不明)、やつの吐いたさまざまな罵詈讒謗、誹謗中傷は忘れようと務めています。

閑話休題。

ところで、本日もおいしいお酒をいただきました。
菊姫の山廃造りの無ろ過原酒。
濃厚な果実の香りをはなつちから強いお酒です。

いろいろある人生だけど、まあいいか。

追記:
うちの奥さんは『ポーの一族』を読んだことがないというので、アマゾンで注文しました。
驚いたことに、萩尾望都の名作は小学館文庫版をのぞいてほとんど絶版なんですね。
すこし焦りました。

『ポーの一族』とくれば、『トーマの心臓』と『11月のギムナジウム』も必読。
ついでに注文しました。
わが青春の書たちと再会するのが楽しみです。
近所の本屋に転がっているかと思ったら、ないんですよね、これが。
いまどきのワカモノは気の毒だなあ。
↑中年のたわごとかあ。(笑)

先頭に戻る | 目次に戻る | 次の日記

2月12日

じつは10日は休みにしていました。
その後、10日、11日とわりとハードな運動日にしたせいか、12日は消耗して元気がない。
床屋にいったり、酒屋でワインとお酒を買ったら、あとはまるでだめでした。

歳かなあとさびしく思うこのごろです。

夕食においしいお酒(長野のお酒、「真澄」のあらばしり)をいただいてぐったり。

わたしはナマコになりたい......

先頭に戻る | 目次に戻る | 次の日記

2月11日

本日は『プリティ・プリンセス』を観ました。
ジュリー・アンドリュースがジェノヴィア王国の女王を演じるというので、期待してみたけれど、『メリー・ポピンズ』の後では面白くなかった。

監督は『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャル。
やっぱり現代のシンデレラ・ストーリーはえげつない現実を入れないとダメなのかなあ。

でも、『メリー・ポピンズ』にあった「二ペンスの歌」(セント・ポール寺院で二ペンスの鳩のえさを買ってあげようという歌)みたいな社会性がないのが、ひどくみすぼらしい感じがしました。

無免許運転で市電に自動車をぶつけた孫娘をかばうために、いんちきな勲章をでっちあげてアメリカの警官や市電運転手をだます女王なんて、ジュリー・アンドリュースにはどうもふさわしくない。
半世紀の時間をへだてたアメリカの退廃が哀しかった。

ところで、主演のティーン女優の名前がアン・ハサウェイというのがひっかったのだけど、調べてみたら、これはシェークスピアの奥さんの名前だったんですね。
お母さんが舞台女優だそうだから、意識してつけた芸名らしいけれど、いやはや。

先頭に戻る | 目次に戻る | 次の日記

2月10日

本日は読書ではなく、ビデオを観ました。
観たのは『メリー・ポピンズ』。

ずいぶん昔にみたときは、『サウンド・オブ・ミュージック』に比べて子どもっぽいという感じてあまり記憶に残っていません。
子どもの目線とそれほど違っていないので面白く感じられなかったのです。

こんど観たときは、お父さんの気分がひしひしと分かってせつなかった。
これは子どもと親のためのミュージカルで、子ども以上大人未満のヤングマンには分かりませんね。

メリー・ポピンズ(ジュリー・アンドリュース)や、友人バート(ディック・ヴァン・ダイク)のせつなさも、昔は分からなかった。(涙)

ジュリー・アンドリュースもさることながら、ディック・ヴァン・ダイクは、銀行の会長にも扮している芸達者なんですねぇ。

銀行をくびになったお父さんがうたう「スーパーカリフラジスティックエクスピアリドーシャス!」のシーンには泣けたなあ。
リストラ世代の共感−−というのもなんだけど。

魔法の言葉(?)「スーパーカリフラジスティックエクスピアリドーシャス!」は、とうぶん頭から抜けそうにありません。

今回は、このページを参考にしました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00069BLR6/250-5622002-4720237

先頭に戻る | 目次に戻る | 次の日記




© 工藤龍大